美味しい酒
美味しい酒が好きです。
だがそれは、特別なお酒ではありません。
名店と呼ばれる店で銘酒をいただいても、もう心はとうに躍らなくなっています。
高級な食材を前に盛り付ける料理は、
形は美しく季節感も趣向を凝らして見ごたえもある。
けれども、そういう凝った演出のある食事は、
もっともらしくお金と手間をかけたことはよくわかる。
が、しかし、
何となく居心地が悪く感じてきてしまいました。
余計なものが一切なく、清酒として簡素な食事が心休まる。
気取りのない食卓のごはんの姿が何よりも美しいと感じる。
一番のご鰍薪は米である、と素直に言える。
これもまたぐい呑みから学んだことです。
素材の勢いを失わず、本来の味を殺さないこと。
土からできたぐい呑みが教えてくれたのはごく当たり前に素材と向き合うことです。
素朴で何気なく実直なぐい呑みには土の匂いのする料理が似合います。
自分が暮らす身近な場所で採れる新鮮な食材を慈しみ、
日々の食事を朗らかにいただきたい。
そんな時間とお酒とが美味しいと感じられます。
唐津のぐい呑みには、素朴な料理がほんとうに美味しい。
普段使いのぐい呑み
どんなお酒をどんな風にして召し上がっていますか。
素敵なぐい呑みとの出会いを楽しみに!
ビールでもワインでも焼酎でも、何でも飲まれるでしょうか。
お酒を心からおいしいと感じるのは、じっくり味わって飲むようなってからではないでしょうか。
素敵なぐい呑みとの出会いもまた、楽しいものです。
お店や骨董市でグラスやぐい呑みを目にしては、(あのお酒を飲むには、これはちょうどいいかもしれない)などと考え、ささやかな幸せな気分になります。
日本酒はいろいろな旨味の成分がからみ合った味の濃いお酒です。
塩だけでもいけるお酒は日本酒くらいでしょう。
冷、ぬる爛、熱爛と温度を変えていただけるのも日本酒ならではの飲み方ではないでしょうか。
繊細かつ芳醇な味わいをそれぞれに楽しめるこういう飲み方は、日本人特有のきめ細やかな情緒を愛でる感性あってこそ、という気がします。
値段が案外安いのもいいです。
日本酒は高級なものでも四合瓶なら二千円程度で買えますが、ワインやウイスキーなどではこんなに安くは買えません。
日本酒は悪酔いする、という声をよく聞きます。
たしかに日本酒は酔い心地がずんとくる、世界でいちばん重いお酒という気がします。
日本酒を飲むときは合間あいまにお水を飲むのがよく、日本酒愛好者の間ではこれを「和らぎ水」と呼んでいるようです。
すると、お酒の味もまた新鮮に感じられるのです。
これは日本酒以外のお酒でも効果があるようです。
合間あいまにお水を飲むと胃の負担も和らげられますから、おすすめの飲み方です。
骨董市や古美術店で買ってきたお気に入りのぐい呑みに冷酒を注いで、生牡蛎などをつまみながらいただく昧は格別です。
日本酒は適温にもバリェーションがありますが、飲むときのぐい呑み、ぐい呑みにもさまざまなものがあるのがいいですね。
ぐい呑み、猪口、升、グラスと、それぞれに幾多のデザイン、素材が存在し、そういったぐい呑みを探しに出かけることは、お酒好きの喜びのひとつです。
基本的にそれほど大きいものではないし、種類も豊富ですから、に気に入ったものを見つけられます。
お酒好きの方はぜひ、自分だけのぐい呑みを見つけてください。
日本酒と唐津のぐい呑み - MENU
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日本人は、なにかしら芭蕉の俳句の中に好きな一句が思い浮かんでくるのではないでしょうか。 |
お酒の名前の由来
「サケ」の名前の由来は、4通りが考えられています。
『酒=栄え水』
『酒=栄え水』から、「サカエ」→「サケエ」→「サケ」となった。飲むと気持ちが晴れ晴れすることから、「栄え水」。それが訛って「酒」になったという説。
栄えのキ
『栄えのキ(キはお神酒のキから)』から、キがカ行の転声で「サカエノケ」となり、これから“ノ”が取れて「サカエケ」、カエがつまって「サケケ」となり、「サケ」となった。
さける
『さける』という意味から。お酒を飲むと、風寒邪気を払う、という「避ける」からとうい説。
クシ
『クシ』という古語から来た、という説。クシは、怪し・奇し。つまり、木や石のくぼみに落ちた果物が自然発酵し、その液体を飲むといい気持ちになる、不思議なことだ、ということから、「クシ」と呼ぶようになった、という説。
酒の語源-もっと詳しく
『水鳥記』
酒のことを「クシ」とか「キ」と呼びましました。
酒は人の気(キ)を壮大にさせ愉快な気分にさせる「奇し」きものであり、その紆しきものを神に捧げて災厄から「避け」ようとしたようです。
それが転して、”さけ”となったという説と、
神前に供えて「いや栄える」ことで、その「栄え」が転じて、”さけ”となったとする説があります。
酒という字は、水と酉という字の組み合わせでできています。
酉というのは酒壷の形からきたもので、占い字体では水偏が右側にきているのがあります。
酒を表す書物に『水鳥記』というのがありますが、酒の『水』『鳥』というのは『氵(さんずい)』『酉(とり)』、つまり「酒」のことだそうです。
日本人は、このような文字遊びが好きみたいです。
形容することばに酉のついた字が多いのはそのためです。
酒をはじめ、酢、醤油、焼酎、酌、醗酵、酪酎、酔う、酔醒め、などほかにもたくさんあります。
酒の異名昔から酒にはさまざまな異名がつけられています。
一般には「ささ」とか「おみき」などと呼ばれたが、酒を禁じられている寺では「般若湯」と称して飲み、江戸や上方の職人たちは「けづり」といったそうです。
また三河地方でできる強い酒を江戸では「鬼ころし」、日光あたりでは「鬼ごのみ」、駿河のあたりでは「てっぺん」などと称しました。
中国の詩人は、いかにも詩的な表現で酒を呼称しています。
「聖人」は清酒であり、「賢人」は濁酒です。
また、掃愁、忘唆物、釣詩絢、竹葉、二万、十句、梨花などと名付けて愛飲したようです。
酒の肴
「さかな」の語源は「飯菜」(飯のおかず)に対する「酒菜」
肴がうまければ、酒も旨いですね。
酒は肴によって生き、その楽しみを際だたせます。
一口飲むごとにその味を堪能させるのが本当の肴といえます。
「さかな」の語源は「飯菜」(飯のおかず)に対する「酒菜」であり、菜とは副食物をあらわす菜のことからきている。
なにも肴は魚とは限りません。
料理ならなんでも良く今でも沖縄では、料理屋のことを「さかな屋」と呼んでいるところもあるくらいです。
酒の肴(さかな)が今のようにぜいたくになったのは、商人が台頭してきた江戸時代からといわれています。
この頃に濁り酒から清酒ができはじめたのも一因だと思います。
地酒があるように、その土地々々の肴も千差万別、特色ある海の幸、山の幸が酒席を彩っています。
一般的には関東は昧が濃く、関西は淡白ですね。
関西は灘をひかえ、酒どころであったため、木香の強くない新しい酒を手に入れることができたからと思われます。
何を肴に飲まなくてはいけないという決まり事はありません。
枡酒で塩を肴に飲む風習は今も生きています。
まんじゅうを酒の友とする人もいます。
料理屋さんではだんだん豪華になる肴ですが、家庭では手軽な材料で素材を生かしたものが、酒客への最高のもてなしといえるようです。
もちろん、唐津のぐい呑みだと最高ですね。
日本酒に関する情報について
このサイトの記事の参考にした本です
酔っぱらい大全 たる味会 講談社
酔っぱらい大全 たるみ会酒にまつわる日本史人物の逸話から、とっておきの知られざる酒造り秘話まで、思わず人に話したくなる極上大吟醸のウンチク話など酒を楽しむ会が編集した酒の蘊蓄本。読みやすく、酒の知識が満載です。
主な項目は、
第1章 酒酔い日本史
第2章 意外に知らない酒造り事情
第3章 日本人の知恵、酒のことわざ
第4章 酔っぱらい名言集
第5章 美酒麗酒用語集
第6章 もう一献の酒情報
日本酒百味百題 日本酒百味百題 柴田書店 小泉武夫
日本酒百味百題 柴田書店 小泉武夫日本酒の理解を促進するための本。それぞれの知識を2ページにわかりやすくまとめています。基本的なトピックスから、ちょっと知っておくといい歴史的背景まで、ほぼこの一冊でフォローできます。とても地味ですが日本酒のことについては知りたいことがすくわかり、素朴な疑問から専門知識まで役にたちます。
主な項目は、
●日本酒の種類はどのように分類されているのか
●造り酒屋の軒先に杉玉を吊るすのはなぜか
●吟醸酒はなぜ果実香がするのか
●燗に向く酒と冷やに向く酒の違いは
●純米酒と本醸造酒の違いは
●宮酒とは、どのような水なのか
●山廃仕込みとは、どのような製法か
●日本酒のラベルの読み方は
●生酒と原酒の違いは
●日本酒はなぜ燗をするのか
酒造りの歴史 酒造りの歴史 (単行本) 柚木 学 (著)
酒造りの歴史 (単行本)酒造りの歴史 (単行本)
内容(「BOOK」データベースより)
日本における近世酒造業の発展に視点をすえて、その社会経済史的側面と醸造技術史的側面を通して日本の歴史と伝統、日本独特の文化を醸成してきたといって過言でない「日本酒」の推移を追究する。
内容(「MARC」データベースより)
日本における近世酒造業の発展に視点をすえて、その社会経済史的側面と醸造技術史的側面を通して日本の歴史と伝統、日本独特の文化を醸成してきたといっても過言ではない「日本酒」の推移を追究する。1987年刊の新装版。
上記の本の他にもたくさんの本を参考にしました。
- 日本酒カタログ 木村克己・松本正彦 日本文芸社
- やっぱりのみたい日本の名酒160選稲垣真美 新潮選書
- 日本酒ベストセレクション392―幻の名酒から極上の美酒まで 小檜山俊 日本文芸社
- 吟醸酒 全蔵元全銘柄―1012社1423酒 銘柄別総さくいん付 主婦と生活社
- 決定版 日本酒がわかる本 (ちくま文庫) 蝶谷初男
- にっぽん蔵元名人記 勝谷誠彦 講談社
- 日本酒の愉しみ 文芸春秋 文春文庫
- 酒との出逢い 文芸春秋 文春文庫
- 酒を百倍愉しむ法 林広美 芳文社
- 旨い地酒を求めて 北川広二 講談社文庫
- 日本酒入門 中尾進彦 カラーブックス
- ほんものの日本酒選び 稲垣真美 三一新書
- 日本酒 秋山裕一 岩波新書
- 酒雑学百科 永山久夫 河出文庫
- つい披露したくなる酒と肴の本 小泉武夫 小学館文庫
- 日本酒 日本酒にトコトンこだわる会 勁文社文庫
- 日本の酒5000年 加藤百一 技報堂出版
- 神酒の日本文化崎宣武
- 秘められた清酒のヘルシー効果今安聰 地球社
- 酒がSAKIと呼ばれる日 日本酒グローバル化宣言 吉田集而 玉村豊男 世界文化社
- 夏子の酒 尾瀬あきら 講談社
- 美味しんぼ 雁屋 哲/花咲アキラ 小学館
すっきりと香り高い吟醸酒から、お米の滋味をじっくり味わう純米酒まで、こだわりの美酒として、またおしゃれなお酒としてすっかり見直されている日本酒。そんな日本酒の魅力を伝える本がたくさんありますね。日本酒と一緒にご堪能下さい。
日本酒の知識でなお一層おいしく頂ければ人生も楽しくなりますね。